かつて一緒に仕事をしていた後輩から、ビジネスセミナーのお誘いがありました。
彼はいくつかの会社で実績を上げて数年前に独立。私も同じように独立独歩の仕事をしているので、お互い共通項もあり、約10年ぶりに会ったところだったのです。
その後、後輩からLINEでビジネスセミナーのお誘いが届きました。
そのセミナーを「自分もやっている」と身近なトピックスにして、数字で現在の申込者数を出して真実性をもたせ、でも残り枠は少ない、と焦らせる。「効くDM」のセオリーをそのままなぞったようなメッセージ。
最後の最後には、「忙虎さんに真っ先にお伝えしました」。
これが最後の一刺しになると思っているんだろうな。何人の人が「真っ先にお伝えしました」と言われているんだろう。
人肌のぬくもりも情熱もないメッセージをコピペする、いくつもの手が目に浮かびました。
ねぇ、「伝える」ってことをナメてるよね?
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私の初めての海外出張は、その後輩が持ってきた仕事でした。「会社はお盆休みの時期ですが・・・」と申し訳なさそうに、でも「お盆出勤をご家族がOKするなら、ぜひ出張に同行してほしい」と切羽詰まって打診された、突然の海外仕事。
当時、国外はおろか国内出張の機会さえあまりなかった私は「行きます」と即答し、あわててパスポートの残存有効期間を確認。なんせ、新婚旅行以来の海外です。どこにしまったかも忘れてしまったスーツケースを引っ張り出し、後輩とクライアントと一緒に、岡山から韓国のソウルに飛びました。
ソウルで私たちを迎えてくれたのは、自分の名前で仕事する40代の女性。現地コーディネーターとして現地の方との面談や、話題のスポット訪問などを取り仕切っていました。
私にとっては初めて会う海外の個人事業主です。韓国のみならず、日本との国際ビジネスを一人で行う方法や苦労など、聞いてみたいことはいっぱいありました。
いまでも覚えているのが、彼女の人間関係構築法。「いつも同じ仕事があるわけではないから、出会った人とゆるやかにつながるようにしている」という言葉です。しょっちゅう連絡をとると鬱陶しいだろうから、年に1度、クリスマスカードで「私は元気にしていますよ」と伝えて、思い出してもらうのだそうです。
残念ながら、この仕事は、当初予定していたような内容にならずに終わりました。なんとか仕事に結実させようと奮闘していた後輩の一生懸命な姿を思い出します。
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夏のソウルで、「海外でもっと仕事したい」「私もここで出会った女性のように、自分の腕を頼りに仕事してみたい」と思ってから20年近く。
いまでは私も、国内外に出張し、初めて出会う誰かと当たり前のように一緒に仕事をするようになりました。
後輩の「お盆だけど出張できますか?」という一言。その時の必死さ、セオリーも何もない率直な言葉は「伝わっていた」し、私の人生を動かすきっかけになりました。
同じ人から届いた、人生を変えるという触れ込みのビジネスセミナーのお誘い。
「興味ないの、ごめんね。あなたがめっちゃ儲かったらおいしいものごちそうしてね」と返事しながら、彼のいまに思いを馳せました。一生懸命なのは変わらないんだろうな。幸せかな?
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