よみもの

オビカカズミ|vol.18 わたしのさぬきもん

職人が使い続ける、さぬきの手しごと品

讃岐桶樽の弁当箱
使うのは オビカカズミさん

お気に入りを大事に育てる

 谷川木工芸さんが作る桶型のお弁当箱を5年前から愛用しています。初めて見たときには「こんなお弁当箱があったのか」とびっくりしました。もともとお弁当箱を集めることが好きで、全国各地のものを持っていますが、中でも頻繁に使っているのがこれです。余分な水分を吸うので、ごはんが冷めてもおいしいんですよね。
 料理が好きで、味噌作りを始めたことでますます凝るようになり、今ではこんにゃくや梅干しも自分で作っています。仕事などを忘れて没頭できるので、いい息抜きになっています。

 幼い頃から絵を描いていて、将来はイラストレーターになりたいと思っていました。県外に仕事で出かけた時に「香川っていいところだよね」とか「香川のこういうものが素敵だよね」と逆に教えてもらうことがありました。ある時は「おむすび山がかわいい」と言われて、見慣れている私からすれば、あの山ってかわいく見えるんだと衝撃でした。でも改めて風景や食べ物を見て、その良さに気づくことができました。
 香川の魅力はなんでも採れて、他県と比べても食文化が豊かなところ。うどんだけじゃなくて、他にもおいしいものがたくさんあるということを知ってほしくて、ポストカードに描いています。
 将来、このお弁当箱に傷が入ったら、漆を塗ってみたいです。香川漆器などの工芸品にはなじみがあり、金継ぎ教室にも通っています。最初はお弁当箱に油染みがつくのが気になっていましたが、ついてしまった油染みも漆を塗ったらそれが味わいになると聞いてからは、気にならなくなりました。ラップやペーパーを敷くやり方もあるんでしょうけど、私は使わなくてもいいかなと思って。特別な時だけに使うのではなく、日々使いこんでいくことで、その良さがより分かるようになると思っています。このお弁当箱もこれからどんどん育てていきたいです。

オビカカズミ/香川県在住のイラストレーター。香川県の穏やかな風景や季節の食材などを優しいタッチで描いたポストカードやカレンダーを手がける。他にも丸亀うちわの職人とコラボした「サヌキモノウチワ」や注染染めの手ぬぐい「オビてぬ」などのデザインも。展示会や個展も行うなど精力的に活動中

※ 谷川木工芸/1955年創業。香川県の伝統的工芸品「讃岐桶樽」の工房。お櫃や浴槽桶に加え、桶づくりの技を生かした新しい製品づくりにも挑戦中

photo Tokumaru Naruhito

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Shichimi

入社2年目の編集担当。香川についてまだまだ知らないことばかり。楽しみながら取材をしています。趣味は観劇とランニング。

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