
職人が使い続ける、さぬきの手しごと品
漆の色紙入れ
使うのは 花澤登人さん
暮らしにおしゃれを添える
20年前にこのゲストルームを建てました。盆栽を始めてみたいけれど、どうすればいいのかわからない、敷居が高くて入りにくい。そんな声を聞くことが多くて、誰でも気軽に入れる場所を作りたいと思ったんです。ここも、そんな思いから生まれた場所の一つです。
せっかくなので床の間に何か飾りたいと考えていた時に、大徳寺の住職さんとご縁ができて「一如」の色紙を書いていただきました。これが本当に良くて、お気に入りの空間になりました。その後、この文字に合うものを探していて出会ったのが、漆の色紙入れです。
落ち着いた紺色でシンプルながら品もあり「一如」の文字ともよく合う。この色紙は気合いを入れたい時など、特別な時に飾るようにしています。そして、この色紙に添えるものもよく考えて選んでいますね。空間の設えで、その人の目利きや考えが伝わるから。ただ高価なものを置くのではなく、品のあるものを選ぶことを大切にしています。この美意識が分かる人とは、自然と深い話ができる気がします。

「季節を遊ぶ」をテーマに、松柏はもちろん山野草の盆栽も手がけています。どんな盆栽でも、短所もあれば長所もある。だからこそよく見て、その長所を最大限引き出す努力をしています。おかげさまで「一味違いますね」と言ってもらうことも多いですね。
私自身、家電などはプロに選んでもらいますし、困った時にはすぐ呼びます。だから私も、何かあれば気軽に頼ってもらえる盆栽のなんでも屋さんでいたいと思って「ぼんさい110番」も続けています。
まだまだ盆栽は、限られた人の趣味。これからは、もっと盆栽人口を増やしていきたいですね。例えば、桜の盆栽を育てて、春に家族で花見をする。そんなおしゃれな楽しみ方ができるのも、盆栽ならでは。だからこそ、もっと多くの人に親しんでもらえると嬉しいですね。


花澤登人/高松市鬼無町にある盆栽園「花澤明春園」の5代目。丁寧につくり込む松柏盆栽をはじめ、自然の姿を活かした山野草盆栽にも力を注いでいる。盆栽を楽しむ人を増やしたいという想いから、教室やワークショップなど、初心者にも開かれた活動を続けている
photo Miyake Nobuyuki
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