vol.20

ニシクミ|わたしのさぬきもん

職人が使い続ける、さぬきの手しごと品

庵治石の傘立て
使うのは ニシクミさん

生活に溶け込むもの

 庵治石ってグレーで冷たい印象があるのに、どこか温かみを感じるんです。そんな不思議な印象を持っていました。4年前に購入したこの庵治石の傘立ては、小さくてとてもシンプル。傘立てといえば大きくて場所を取るものだと思っていたので、こんな形があるんだと驚きました。実際に使ってみると、その良さがよく分かります。小さいのに重さがあるから倒れないし、シンプルだから空間にもすっとなじむ。それも庵治石がどこか温かみを感じさせるからかも。水を吸って吐く石の特性が存分に生かされた道具だと感じています。

 私が制作している「Loci」※ には、庵治石の石粉を混ぜています。不純物を含んでいる庵治石だからこそ、マットで柔らかな色味になるんです。それに、石粉に含まれるガラス成分が表面をコーティングしてくれるので、水や汚れに強い。しかも石粉を加えたことで強度が増したので、薄く仕上げられて、その分とても軽い。香川らしい器を作りたいと思って庵治石を使ったら、結果的に良いところばかりになりました。
 プラスチックのものは日常にあふれていますが、素材としての魅力が薄いような気がします。劣化が早く、汚れが目立つと愛着が湧きにくいですから。でも自然素材は、経年劣化しても、それがかえって魅力にもなりますよね。だから、なるべく自然素材のものを選ぶようにしています。

※「せとうち讃岐・大地のうつわLoci ロキ ~Ajiシリーズ~」は、庵治石の石粉を50%以上、粘土や釉薬に混ぜ込んで作られている。5年にわたる試行錯誤の末、商品化された 

 今はさらに香川らしい器を作りたいと思って、釉薬に県産オリーブやサヌカイト、丸亀の広島で採れる青木石を取り入れるなど、新しいことにも挑戦しています。
 陶器は手づくりのものなので、一つとして同じものはないところが面白いです。身近にあるからこそ、普段から使ってもらえたら嬉しい。割れたり、なくなったりしたときに初めて寂しさを感じるような器こそ、本当に良い器だと思うので、そんな生活に自然に溶け込む器を目指していきたいですね。

ニシクミ/陶芸家。瀬戸内海の島の形をかたどった「島マグネット」や、石を模した陶器「石に花シリーズ」など、香川ならではの商品を多数手がける。「少しでも多くの人にものづくりの楽しさを知ってもらいたい」と、三木町の工房では、陶芸体験も開催している。

photo Miyake Nobuyuki

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Shichimi

編集担当。香川についてまだまだ知らないことばかり。楽しみながら取材をしています。趣味は観劇とランニング。

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