途切れても繋いでいく伝統の茶道具

絵柄を決めた後は、迷いなく筆先が進む
江戸時代から続く伝統
茶道は、古くから親しまれてきた日本文化のひとつ。全国で多種多様な茶道具が生み出されていますが、高松にも400年近く続く理平焼の窯元があります。
そのはじまりは、茶道に深く通じていたといわれる初代高松藩主・松平頼重公が、京都から陶工を招いたことに遡ります。代々高松藩のお庭焼として受け継がれ、明治以降は、一般にも開かれるようになりました。
特別名勝・栗林公園の横にある工房には、四季折々の景色を映した器や水指が並び、紺・緑・金を基調とした伝統的な絵付けが目を引きます。その気品漂う空間に、自然と背筋も伸びます。
「伝統の色を守りつつも、時代に合わせて少しずつ変化している部分もあるんですよ」。
そう話してくれたのは、14代目・紀太理平(きた りへい)である洋子さんです。


釉薬をのばす道具。基本的に単色で使用する

下書きで全体の構成を決める

新色は焼き上げて色味を調整して使用
14代目の挑戦
代々「紀太理平」を襲名してきた理平焼。13代目だった夫・克己さんから14代目を継いだ際に、まだ焼きものの経験がなかった洋子さんは、京都で絵付けを学んだのち、高松へ戻って制作を始めました。とはいえ、学んだのは基礎だけ。「独自の表現は自分で模索していくしかなかった」と当時を振り返ります。
写真や資料をもとに試行錯誤を重ねる中で、初の女性陶工として反発を受けることもありました。それでも自分にできることは何かを考え続け、現在の作風にたどり着いたのです。お客様の要望に応じながらも決して品格を失わない洋子さんの絵付け。「気持ちが一番大事。やろうと思えば何でもできる」と語るその姿には、強い覚悟がにじみます。

季節に合わせて、夏は浅めの器に
現在は、地元高校の茶道部での絵付け指導や、観光客向けにワークショップを開催するなど、理平焼の魅力を広く発信する活動にも取り組んでいます。
次期15代目である息子・信吾さんに「基本を大切にしながら、新しい感性を取り入れてほしい」と話す洋子さん。その思いを受け継ぎながら、理平焼はさらに未来へと繋がっていきます。

理平焼 窯元
香川県高松市中野町34-17 栗林公園北門前
tel.087-831-8230
photo Tokumaru Naruhito
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