vol.23

徳島県鳴門市・鬼骨寺|四国文化遺産

鬼の野に立つ光の木、
三千世界を願う骨

 5月のある晴れた日、車は海沿いの国道を東に向かっていた。左手には遙か淡路島の風車群がはっきり見える。讃岐相生を過ぎ、徳島県に入って最初に通る集落が折野だ。ここは古くは鬼野と呼ばれたそうで、鬼骨寺という鬼の骨を祀った寺がある。


 法然上人が讃岐に配流され船で通りがかった際、上人が4匹の小鬼に現世での悪行を悔い改めるよう諭すと、鬼たちは海に身を投げてしまった。その骨を村人たちが寺に埋葬したと伝えられている。背後に聳える大麻山の麓には、鬼の岩屋もあるそうだ。


 境内の立派な門を潜ると巨大なイブキの木がまず目に入った。その生命力は凄まじく、初夏の日差しを浴びて枝葉を大きく伸ばしている。この漁村は大麻比古神社への街道も通る重要な交通の要所だった。聖地は確かに人を惹きつけるが、そこに折り重なるように点在する哀しく寂しい歴史のある土地たち。ひょっとして鬼たちはこのイブキの木になったのかも知れないなと、ふとそう思った。


写真・文
宮脇慎太郎
1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を期に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」などがある。https://www.shintaromiyawaki.com/

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宮脇 慎太郎

1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を機に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」など

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