vol.22

愛媛県宇和島市・遊子水荷浦の段畑|四国文化遺産

紺碧に立つ垂直の生命線、
未来へ繋がる意思を積む

 宇和島を離れ車を走らせていると、濃い青緑の海が右手に見えてきた。道は対向が困難なほど狭くなり、左手の斜面は海に滑り落ちそうなほど迫ってくる。幾重にもカーブを曲がり、小さな漁村や集会所を何か所か通り過ぎた先に、突如巨大な石壁が屹立する。


 ナビを見ると、海を少しでも削り取ろうとするかのように、幾重もの半島がこの地には突き出している。虚空に放電する稲妻のような、光を求め伸び続ける蔦植物のような独特のリアス地形。急峻な土地なので稲作ができず、古代より人々は半農半漁で命を繋いできた。その生命力が具現化した景観が、30年前に残されていたら世界遺産になったとも言われるこの段々畑だ。平均勾配は40度! 地元有志が今も400年前の景観を守っている。

 

 
 古来は上波浦と呼ばれたこの地は、子供の死亡率が高かったそう。せめて子供が元気に遊ぶ姿が見られる場所にという願いから、江戸の頃から遊子という地名が使われるようになったと伝えられている。


写真・文
宮脇慎太郎
1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を期に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」などがある

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宮脇 慎太郎

1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を機に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」など

  1. 愛媛県宇和島市・遊子水荷浦の段畑|四国文化遺産

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