vol.22

テーマ「地域のB面」|あぁ、本があったんだなって

アートって何? 美術って何?
答えがない問いに挑み続ける学生達
アート県の未来は10代しか描けない
香川発のアートマガジン

 なタ書を始めて今年で20年目を迎えます。四国の友人の先輩格として、愛媛の道後温泉で「ふじ屋」というゲストハウスを営んでいる、アツシ君がいます。
 ふじ屋が20年目を迎えた際、アツシ君から「個人のお店が20年続くことは1%にも満たない」云々と三津浜の飲み屋で延々と自慢されました。ですので私が営んでいる本屋もついにそこまで辿り着いたのかと感慨深い想いが少しはあります。そして驚くかな、この雑誌「IKUNAS」も20年目を迎えます。当時は今より更に小さな判型でした。当店では創刊号から取り扱いをしています。今では新しく出来た本屋が新刊本と古本を一緒に並べて販売する手法は珍しいことではありません。なタ書も古本屋と謳いながらも多少の新刊本を取り扱ってます。
 その契機がこの「IKUNAS」だったわけです。お店に置く新刊本の基準は特に決めてませんが、一つは香川、瀬戸内発の本といったところでしょうか。今では海外からも多くのお客さんがお店を訪ねてくれます。そんな方たちにとっての「お土産」にもなるような本。
 「F」(エフ)は高松工芸高校の美術科に通う有志が作る、年一回発行される雑誌です。企画から取材に編集、デザインまで全て現役の高校生達が手がけてます。このことをお客さんに伝えると誰もが驚きます。プロの本作りの人たちも唸ります。オールカラーでページ数は「IKUNAS」以上。アーティストの取材を中心に構成された作りですが、登場してくるアーティストも「瀬戸内国際芸術祭2025」に参加された、スウェーデンのアーティスト他、ワールドワイド。創刊号から当店で取り扱いしている「F」ですが、今年の秋には10周年を迎えます。
 凄くないですか? 高校生や大学生が何かのプロジェクトで本を作る事例は各地であります。ですがその試みが10年も続いているという話を私は他に聞いたことがありません。文芸誌でも学生が10年かけてタスキを繋いでいくなどそうそうないでしょう。
 「美術」という分野の魅力を発見する10代が綴り続ける言葉たちは、地元のA面「四国新聞」で目にする「アート県」という用語よりも私にとってはズッシリと重く、高松で本屋を営む上で誇りに思える、まだまだ知られざるB面本です。


雑誌「F エフ」Vol.9
香川県立高松工芸高等学校 美術科
発行 2025年


藤井 佳之
なタ書店主。四国は高松にて完全予約制の本屋を営む。

なタ書
香川県高松市瓦町2丁目9ー7 2F(瓦町駅から徒歩5分)
tel.070ー5013ー7020
24時間365日予約対応可
X @KikinoNatasyo
Instagram @natasho0718
※店主は電話に出ないこともあります。その場合はどうにかして店主を見つけてください。


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藤井 佳之

なタ書店主。四国は高松にて完全予約制の本屋を営む。 なタ書 香川県高松市瓦町2丁目9-7 2F(瓦町駅から徒歩5分) tel. 070-5013-7020 24時間365日予約対応可 ※店主は電話に出ないこともあります。その場合はどうにかして店主を見つけてください。

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