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非日常を味わうご褒美ステイ|NIPPONIA仁尾 水鏡の町[三豊市仁尾]

 

「安穏の時に、浸る夜」―IKUNAS編集部による宿泊記

非日常を感じられる香川県内の特別な宿に、編集部が実際に宿泊し、
泊まってこそ分かる魅力を徹底レポート。
周辺ロケーションやおすすめの過ごし方もご紹介します。

photo Tanaka Mikuto(「/編」は編集部撮影)

 

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チェックイン|三豊市仁尾 昔ながらの町並みを歩いてみれば

 

香川県三豊市仁尾(にお)町は、瀬戸内海に長く突き出した、荘内半島の付け根にあたる町です。近世にかけて瀬戸内海交易の要衝として大きく繫栄し、今なお当時からの歴史ある建物が町の至るところに残っています。

“水鏡(みかがみ)”のように海に映り込む景色で知られる父母ヶ浜(ちちぶがはま)にほど近い仁尾は、地域の暮らしの中心地でもあります。

旧仁尾城跡でもある「覚城院」から一望する仁尾の町/編

今回宿泊する「NIPPONIA仁尾 水鏡の町(以下、NIPPONIA仁尾)」は、そんな昔ながらの町並みに宿泊施設が点在しているとか。

提供:NIPPONIA仁尾 水鏡の町


▶NIPPONIA仁尾 水鏡の町 について詳しく知る

 

 

まずは目抜き通りの「中ノ丁(なかんちょ)」通りにあるフロント棟を目指します。

 

一昔前にタイムスリップしたような、どこか懐かしい細道を車で進み、フロント棟でチェックイン。
江戸時代に荒物屋だった建物を移築し、町中に点在させていく複数の宿のレセプションとして活用しています。

本瓦葺きの屋根に、香川県伝統的工芸品・讃岐のり染の暖簾が目印/編

 

到着すると、NIPPONIA仁尾 代表の竹内哲也さんが、地図を見せながら町のことを教えてくれました。

仁尾の町並みマップ。父母ヶ浜の満潮・干潮や日没時間も教えてもらえる/編

 

いざ宿泊棟へと歩き始めてみると、なるほど先ほどの細道も、歩くのにはちょうどいい塩梅なのだと納得。
ゆるやかに曲がる路地、不ぞろいな道幅はどこか懐かしく、「次にどんな景色が待っているだろう」と思わせてくれるのです。

ゆるやかに蛇行する仁尾の路地/編

施設紹介①|米問屋を改装した宿泊棟「千代屋(せんだいや)」101号室

 

今回宿泊した「千代屋」は、江戸時代末期に米問屋として建てられたもの。
大きな一棟を趣きの異なる2室へと改装しています。

左側にある101号室の暖簾をくぐると、思わず驚きの声が。
先ほどまで歩いてきた路地のように、奥へ奥へと廊下が続いています。

 

誘われるように足を踏み入れれば、慌ただしい日常がふっと解け、静けさに満たされていきます。

 

満月のようなイサム・ノグチのAKARIに照らされ、ぼうっと浮かぶのは欄間に舞う異国の鳥たち。目を凝らすほどに、この家が刻んできた物語が心に染み入ってくるようです。

 

 

通りに面した手前からリビング・畳の間・寝室、そして廊下の奥にバスルームが続きます。
寝室より奥の棟は、大正時代に増築した部分なのだとか。
天井や柱、古い土壁など、何もかもを新しく仕上げ直すのではなく、この家が本来刻んできた歴史をそのままに生かし、居心地よく改修されています。
小さくとも気持ちよく整えられた中庭も、心安らぐ大切な空間です。

/編

 

 

色々なディティールに見惚れていると「仁尾の町を歩いてみませんか」と竹内さん。
「NIPPONIA仁尾」では、チェックイン後、希望者に町の案内を行っているそう。
今回は特別に、古民家を改装した他の棟も見せていただけることに(通常は行っていません)。

  

施設紹介②|表土間がシグネチャーの広々とした「千代屋」102号室

 

お隣の102号室へは、米問屋の元々の入口から入室します。
まず目に入るのは、お店らしい広々とした表土間(おもてどま)。

 

かつては「仁尾買いもん」といって、近隣の町々からの買い物客で賑わっていたという仁尾の繁栄を感じさせる、堂々たる佇まいです。
今では、リビングと通りの往来とを静かにつなぐ“あわい”の空間として機能しているようです。

古い建具は、菅組(すがぐみ・後述)が運営する古材の店「古木里庫」から取り寄せたもの

 

「NIPPONIA仁尾」のすべての部屋には、アナログレコードプレイヤーが設えられています。デジタルデバイスをオフにし、レコードにそっと針を落とす。そんな過ごし方が、ここでの時間の流れに不思議と調和するようです。

施設紹介③|キッチンが付いた一棟貸しの「多喜屋(たきや)」

 

続いて、フロント棟へと戻り、すぐ裏にある棟「多喜屋」へと入室。

ここは「NIPPONIA仁尾」の建物の改修を行った建設会社・菅組(すがぐみ)が、最初に改修を手がけた棟でもあります。

 

宮大工集団として発足し、170年超にわたり地域の建築に携わってきた菅組。

“アルベルゴ(宿泊施設)・ディフーゾ(分散)”という町全体をホテルのように見立てるイタリアの思想に共鳴し、仁尾の歴史ある建築を生きた形で残していくために始まった「多喜屋」のプロジェクトが、今の「NIPPONIA仁尾」へとつながっています。

▶詳しくは過去記事「わたしだけの仁尾時間」(「多喜屋」宿泊記)からお読みいただけます。

一棟貸しの「多喜屋」は、1階にキッチンやバスルームとリビング、2階には寝室と多目的に使える和室が設えられています。
古民家の間取りそのままではなく、一部を開口することで明るく心地よい空間に。

 

2階の和室へは、茶室への躙口(にじりぐち)のような小さな引き戸を通って。

  


圧巻の梁組みは寝室でも見上げることができます。

施設紹介④|対照的な2室のある棟「小倉屋(おぐらや)」201・202号室

 

再び中ノ丁(なかんちょ)通りへと戻り、竹内さんの解説を聞きながら「小倉屋」へと向かいます。

歴史ある寺院、銭湯や商店といった、普段の暮らしを垣間見ながら歩いていくと、明治37年に米問屋として建てられた「小倉屋」にたどり着きます。

七寶山吉祥院は、菅組の宮大工の手で最近修繕を終えたそう。新旧の木材のコントラストは「日本ならでは」と竹内さん

地元民から愛される銭湯「大井温泉」

 

「仁尾酢」こと中橋造酢の煙突は、仁尾の町のランドマーク


「小倉屋」も「千代屋」と同様、大きなひとつの棟を2室に分けた造り。
正面入口からは201号室へと入れます。

 

軒先には「ニオス」の通い箱が。

町の中にあるこんなご当地モノを探すのも楽しい/編

 

201号室の中は、通りや中庭に面しており、明るい空間が広がっています。

代々大切にされてきた立派な神棚が、今もこの館を見守っている

 

奥行きのある広々とした空間

 

読書にぴったりなスペースも。床の間のアフリカ民具が古民家の趣きと調和する/編

 

隣接する202号室へは、かつての勝手口から入室。
時を経た外壁も、この家の刻んできた歴史としてあえてそのままに残しています。
自分たちの家を、地元の土と藁、そして木材を使ってつくること。かつて当たり前だった暮らしのあり方に、改めて気づかされます。

 

静かさを湛えた土間はほの暗く、その先の畳の間に灯るあたたかな灯りが心に染み入るよう。

 

 

こぢんまりとした隠れ家のような趣きで、自分だけの時間をじっくりと過ごせそうです。

 

施設紹介⑤|父母ヶ浜沿いに佇む、建築家・堀部安嗣氏の「讃岐緑想(さぬきりょくそう)」

 

NIPPONIA仁尾は、以上の3棟5室に、建築家・堀部安嗣氏の手がけた「讃岐緑想」を加えた、計4棟が展開しています(2026年3月現在)。

提供:NIOYOSUGA株式会社

 

それぞれに固有のストーリーをもつ、豊かな時間に満ちた4棟。
どこに宿泊しても、きっと忘れられないひとときになるはずです。

夕食|創作和食店で楽しむ季節のディナー

 

一通り宿泊棟を見せていただいた後は、お待ちかねのディナーへ。
会場となる「創作和食MAWARU(以下MAWARU)」は中ノ丁通りに店を構えます。

中ノ丁通りは近年、新店オープンラッシュ。
“新店”といっても、歴史ある古民家や商家をリノベーションし、こだわりの食を楽しめるお店ばかり。
夕食後は近くのブルワリーや小料理屋でもう一杯、というのもいいかもしれません。

▶IKUNAS vol.22「あのまちに出会う旅」特集:「古民家で夜ふかし」でも「MAWARU」をご紹介しています。

「NIPPONIA仁尾」に流れる静かな時間はそのままに、夜のひとときを楽しむことができます。

 

「MAWARU」の店内にも、「千代屋」と同じ大きなAKARIが。
開放的な吹き抜け空間に会話も弾みます。

 

夕食は季節の会席コース。
徳島県出身の若き料理長、阿部竜也さんが手がける料理は、季節感を散りばめた繊細な一皿ばかり。
この日の御造りは鰤・鰆・鮪に、徳島のスダチを添えて。
店名の「MAWARU」の通り、香川・徳島を“まわる”ように楽しんでほしい、という想いから四国の旬の味を楽しむ料理を提供しています。

 

この日の料理は、白魚の蕗寄せや、鰆と山菜の酢味噌和えなど、初春らしい全11品の懐石コース。
瀬戸内海や四国を中心に、その時期にいちばん美味しい食材を全国から集めているそう。

走りの山菜のほろ苦さ、脂の乗った鰤や鰆の旨味、ふっくらと炊きあげられた鯛の地味…。
食材本来の味わいを引き立てる調理で、一皿ごとに違った愉しみを感じられます。

「MAWARU」ではお酒のラインナップにもこだわっており、地酒と旬の料理とのペアリングも堪能。

居心地のよい落ち着いた空間に、美味しい料理とお酒。
最後の甘味まで美味しい、お腹も心も満たされる至福のディナータイムを過ごせました。
 

 

▶IKUNAS vol.22「あのまちに出会う旅」特集:「古民家で夜ふかし」でも「MAWARU」をご紹介しています。
  

創作和食MAWARU
香川県三豊市仁尾町仁尾丁228 
tel.0875-24-8855
ランチ11:00〜14:30(LO14:00/木休)
ディナー17:00〜22:00(LO21:30) 
火・水定休 ※祝営業

 

 

誰にも邪魔されずに過ごす、安穏の夜時間

 

お腹と心が満たされたら、もうすっかりおなじみとなった中ノ丁通りを歩いて「千代屋」へと戻ります。
ウェルカムドリンクで用意されている、東かがわ市五名(ごみょう)TSUBAME BREWERYのクラフトビールと、近所の「加治藤商店」から仕入れる瓶ジュースはお風呂上りに取っておくとして、せっかくなのでレコードをかけて、ゆっくりとリラックス。

/編

上質で心地よいインテリアは、地元・西岡家具店のセレクトによるもの。
壁掛けにした丸盆や、堅牢で収まりのよい栗のコーヒーカップなど、そこここに香川の手仕事の品もそっと添えられています。

伝統的工芸品・香川漆器の独楽(こま)塗りの盆/編

栗の木を刳りぬいたカップは伝統工芸士・有岡成員さんによるもの。IKUNAS LINE有料会員に登録で、宿泊の方にペアでプレゼント(期間限定)

地元の大工や職人によって建てられ、家人によって大切に受けつがれてきた建物と、必要以上に手をかけすぎることなく、丁寧にその空間を再生する人々の仕事が、自然とひとつに調和しています。

 

 
香川県産ヒノキを使ったバスルームで、木の香りに包まれたバスタイムを過ごしたら、オリジナルの保多織(ぼたおり/香川県の伝統的工芸品)ルームウェアに着替えて。

湯気によって心地よい木の香りが広がる/編

 

水回りのカウンターは、木目の美しい銘木で設えられている/編

 

短いような長いような、この町での不思議な時間を思い返しながら、眠りに就きました。

 

朝食|清々しい目覚めと身体が喜ぶ朝ごはん

 

翌朝は日が昇るとともに自然と目が覚めました。
中庭からの小鳥たちのさえずりや、表の通りを過ぎゆくバイクの音などを聞きながら、リセットされたような気持ちで深呼吸。

 

身支度を整えたら、さっそく朝食会場の「MAWARU」へ。

仁尾の町は朝さんぽもおすすめ。
静かな町全体が凛とした空気に満ちていて、どこか身が引き締まるというか、背筋が伸びるような感覚になります。

 

朝食は焼き魚とふっくら出汁巻き卵の定食です。

香川県の伝統的工芸品「讃岐桶樽」は、香川県三木町の谷川木工芸によるもの

特注の楕円桶に、目覚めにうれしい季節の小鉢がぎゅっと集まっています。
徳島の半田素麺を使ったそうめん汁がついているのが嬉しいところ。

身体にやさしい和定食でしっかり目が覚めたら、部屋に戻ってもうひとくつろぎ。

 

第二の自宅…とも感じられるほど、すっかりなじんだこの部屋に、名残惜しさを感じつつもチェックアウト。
最後に「加治藤商店」に立ち寄って、今回の滞在は終了です。

 

思わず大人買いしそうな駄菓子から、ご当地の日本酒・地元の仁尾酢などお土産におすすめな品物も/編

 

 

日常の慌ただしさから離れ、古き良き町の時間を味わう、贅沢な大人ならではの旅。
仁尾の歴史と文化が醸し出す、居心地の良さに包まれるような旅となりました。

 


施設情報

 

NIPPONIA仁尾 水鏡(みかがみ)の町
香川県三豊市仁尾町仁尾丁312番地
tel. 0875-24-8490
https://nipponia-nio.jp/


▶NIPPONIA仁尾 水鏡の町 について詳しく知る

▶他の宿泊記も読む
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 ・多島美と溶けあうヴィラ|Sunset SPA Resort AJI by SETO CLAS[高松市庵治町]

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  • 記事を書いたライター
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Mizmm

香川に戻って7年目のIKUNAS編集長。讃岐や四国の歴史・民俗・食文化に興味津々。旅も好き。

  1. 非日常を味わうご褒美ステイ|NIPPONIA仁尾 水鏡の町[三豊市仁尾]

  2. NIPPONIA仁尾 水鏡の町とは

  3. 自然と一体になる建築の冒険(さぬき市・大串半島)

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