本をつくること
本は、誰が、どうやって作っているのでしょうか。
大ヒット漫画を描く人、地域で文学賞を主宰する人、
一世を風靡した雑誌の編集部…。
香川に住み、本をつくっている人たちに会いに行きました。
本をつくること
・香川の風景に重ねた代表作 本とメモが創作の源:漫画家サイトウマドさん
・身近な現実と文学をつなぐ+αの楽しみを求めて:「半空」店主岡田陽介さん
コラム かつてTJかがわがあった
元編集部が語るタウン情報誌の黄金時代
あれは忘れもしない、いつだったか(忘れとるやないの)、確か昭和57年のことだ(覚えとるやないの)。などという当時の読者に懐かしいフレーズで書き始めてみましたが、かつて香川県内をそこそこ席巻した「月刊タウン情報かがわ」というタウン誌があったことをご存じでしょうか。休刊から既に10年が過ぎ、既にその存在は忘れ去られつつある中、当時の思い出などを語ってみたいと思います。

「タウン情報かがわ」。最初はA5版でカラーページはなし。この頃から表紙が怪しいテイストに

笑いの文化人講座の投稿を集めた単行本。全25巻とリミックス版1巻を刊行
創刊当時、香川には既にタウン誌が存在していましたが、5年以上の後追いというハンデをものともせずに、どんどん売上を伸ばして行きました。その原動力になったのは「笑いの文化人講座」。初代編集長の田尾さんが、読者とのコミュニケーションを1つの柱に据えることを目的に始めたこの読者投稿コーナーは、独特のハイレベルでシュールな切り口が中高生を中心に大ヒット。最盛期には何百もの投稿ハガキや封書が編集部に届いていました。また「素人寄席」のような読者参加型のイベントも開催し、その地位を強固な物にしていきます。お笑い芸人のナンチャンや、作家の小西マサテルさんは、当時素人寄席に出演していたメンバーです。
当時の編集部は「いつでも読者の訪問OK」で常に数人の読者がたむろする中、〆切前の徹夜に近い状況が毎月続くという特殊な環境で、田尾さんのフレンドリーな性格も相まっておおよそ会社らしくなく、サークルのような雰囲気でした。原稿の執筆が手書きからワープロ、パソコンへと変わって行くとともに、この雰囲気は薄れて行きましたが、誌面のテイストは最後まで変わりませんでした。

街のグルメ情報を集めた「食べ歩き大図鑑」。後に「グルパラ」と改名
その後もグルメ本「食べ歩き大図鑑」や、文化人講座の単行本などヒットを連発していきますが、大きく流れが変わったのは「恐るべきさぬきうどん」の出版です。小さな製麺所に光を当てた連載記事は大反響を呼び、平成5年に単行本化。讃岐うどん店めぐりという新たなブームを生み出すことに繋がりました。

新たなうどんブームの火付け役となった「恐るべきさぬきうどん」

「讃岐うどん全店制覇攻略本」。現在まで続いている別冊。県内のうどん店を網羅した狂気の本
しかし平成14年に田尾さんの退社をきっかけに売上は徐々に減少。紙の本から電子版に移行するも平成27年に休刊。現在その名は、別冊の「さぬきうどん全店制覇攻略本」に残るのみとなりましたが、こんな怪しいタウン誌がかつてあったことを、思い出していただければ幸いです。
篠原 楠雄
地元タウン誌編集部で14年間在籍した後独立し、フリーライターに。20年間に渡り香川県内に新しくできるうどん店を取材し続けたおかげで、すっかりメタボ体質に。「麺通団」の初期メンバー・S原だが、ふが悪いので普段は名乗るのを控えている。好きな食べ物は柿ピーとあんまん。左上の写真は30年以上前の筆者。体重は今の2/3
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