vol.22

太田眞介|わたしのさぬきもん

職人が使い続ける、さぬきの手しごと品

陶芸のマグカップ
使うのは 太田眞介さん

こだわりを
詰め込んだもの

 このマグカップは作家「アキホ・タタ」(※1)として活動する両親が陶芸作家の貴志さん(※2)とご縁があり、もらったもののひとつです。貴志さんとは家族ぐるみで仲が良くて。僕が物心がついた時にはすでにあったので、もう30年以上使い続けていますね。僕も愛着のある大切なカップです。今は来客があった時に使っていて、このカップで出すと同じコーヒーでも不思議と美味しく感じるし、独特の形をしているから話題のひとつになることもあって。このようなこだわりのものを使うと、忙しい制作の合間でもゆとりが生まれて、自分自身に向き合える気がします。


 職人と作家さんでは独創性が圧倒的に違いますよね。発想力だったり、イメージだったり。僕は職人として、伝統建築などの歴史からものづくりがスタートすることが多いですが、作家の父は、それに加え現代の情報を取り入れたり、いろんなところから発想が出てきていて。ものづくりのやり方は同じなのに、頭の使い方が違うなと。驚くこともありますが、そこにはちゃんと理論やストーリーがあり、こだわりが詰まっているんですよね。
 もちろん、僕自身も職人として大切にしているこだわりがあります。父が作品にストーリーを込めるように、お客さんに提案をする時には、その人の趣味や出身地、育ってきた環境などからイメージして提案内容を考えます。その土地で親しまれている形や、象徴的なモチーフを取り入れることも。そうした提案を重ねていくと、少しずつお客さんの心が開いていくんですよね。そこに庵治石の良さや伝統的なこだわりを絡めていくと、やっぱり既製品や他の石よりいいよねと感じてもらえます。

 庵治石は、江戸時代の作品が今も残るほど硬度が高く、風化に強い。良いものを作れば、時代を超えて残っていく。そういう良さがあります。だからこそ、自分の伝統的な技術や見せ方と、両親のアートを融合することによって庵治石に新たな価値をつけていけたらいいなと思います。

太田眞介 Ota Shinsuke
高松市牟礼町生まれ。石屋TATA代表。高校卒業後、愛知県で4年間修行を積み、オーストラリアへ渡航。英語を学びながら現地の石材会社で働く。帰国後、石屋TATAを継承。現在は、個人住宅やホテル、寺社仏閣など、幅広い施工を手がけている
※1 アキホ・タタ/1991年より活動する彫刻・芸術ユニット。数多くの彫刻展で受賞歴を重ね、二人が手がけた作品は全国各地に設置されている
※2 貴志勉/東かがわを拠点に土を焼いて固めた「陶」によるインスタレーション・オブジェなどの現代美術作家として活動中
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photo Miyake Nobuyuki

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Shichimi

編集担当。香川についてまだまだ知らないことばかり。楽しみながら取材をしています。趣味は観劇とランニング。

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