vol.24

こども図書館船「ほんのもり号」|本を読みに、島に。

書店に行こう —本を読みに、島に。

海のそばで、波音を聞きながら読書をする。
そんな時間を過ごせる場所が、香川の島にはあります。
本を読みに、あなたも島へ行ってみませんか。

photo Kawabata Ayaka

 


穏やかな瀬戸内海を巡回する一隻の小さな船「ほんのもり号」を知っていますか。

2025年4月に就航を開始した、海の上を走るこども図書館です。デッキから船内へ足を踏み入れると、その小さな空間には約2,000冊の絵本や子ども向けの書籍がつめ込まれています。


この船は、世界的建築家・安藤忠雄氏の発案により誕生しました。

「子どもたちに本の楽しさや、ふるさとの海と島のことを知ってもらいたい」という想いのもと、元旅客船を安藤氏が購入、図書館船向けに改造し、香川県へ寄贈されました。

安藤氏は様々な場所に子どものための図書館を寄付しています。その活動の一環として、香川県には図書館船を寄贈

 

船内の本棚は、見事に子どもたちの心をくすぐる設計となっています。

子どもが床に座ったり、ゴロンと寝転んだりしたとき、ちょうど目の前に本のタイトルが飛び込んでくるように設置された本棚、海を眺めながら読書できる机やベンチ。

子どもたちは船内に入るとすぐに、何気なく目についた本を思い思いに広げていきます。

 


「指示されて読むのではなく、自分の『読んでみたい』という好奇心で手に取る読書こそが、子どもたちの心に深く刻まれますよね」と、運営を担うこども図書館船事業実行委員会の氏家紀子さんは語ります。

 

 

「寄贈されたこの船をどのように活用していくか、島の住民なども含むワーキンググループのメンバーと本質的なところからじっくり話し合いました。

本屋が減り、デジタル化が進む中、紙の本が子どもたちの手に届きにくくなっている現代において、この図書館船の役割とは何か。

地元の子どもたちが海の上でふるさとを感じながら、心が動かされる本と出合う、そんなふうに子どもたちの記憶に残る体験を提供したいと思っています」

 

選書も香川県ならではの視点を取り入れ、とてもこだわっています。

「せとうちといのち」「せとうちとあそび」など、瀬戸内の環境やカルチャーを意識した独自の5つのテーマで分類された本は、県内の図書館司書たちが時間をかけて選び抜いたもの。

 

 

「プロの司書さんたちが、とても丁寧に選書し、子どもの興味をひく棚づくりを緻密に計算してくれました。ただ本を並べるだけでなく、本と出合う空間そのものを一から組み立てています。小さいながらも図書館としての機能を十分に果たしていて、司書さんたちの想いが詰まっています」

船から島へ、そして日常へ。本を通じて広がる子どもたちの世界

 
船内だけで完結しないのもこの図書館船の魅力です。

動く図書館という特徴を活かし、県内の子どもたちが「ほんのもり号」に乗って本を読みながら移動し、瀬戸内海の島々に暮らす子どもたちを訪ねたり、台湾から訪れた子どもたちと一緒に楽しむなど、地域や学校の枠を超えた子どもたちの交流の場としても活躍しています。

安藤氏が青春のシンボルとしてデザインした青いりんごのオブジェ。いつまでも青春の心を持って走り続けてほしいという願いが込められています

週末には親子向けに島散策や地元の図書館と連携したイベントも開催。

例えば、「オリジナルの図書館トートバッグをつくろう」というワークショップでは、バッグにロゴのスタンプを押したり、自由に絵を描いたりしたあと「次はこのバッグを持って、近所の図書館に行ってみよう」と促します。

「ほんのもり号での時間が、日常の読書へとつながるきっかけになればと思ってさまざまな企画を考えています」と、氏家さん。


島を巡る船の中で過ごせるのは、ほんの1時間程度。短い時間の中でも、そこで感じた海風や島々の風景、その中で自然と本の世界に導かれて夢中になる瞬間は子供達にとってかけがえのない時間になるに違いありません。

この特別な体験で芽生えた感情は、子どもたちの胸の中で、いつまでも色あせない宝物として心に宿っていくはずです。

「ほんのもり号」は親子で参加できます。青い海と本を眺めながら、ぜひ子どもたちと、とっておきの時間を一緒に過ごしてみてください。

 

 

こども図書館船 ほんのもり号
こども図書館船事業実行委員会事務局
香川県高松市番町四丁目1番10号
(香川県政策部地域活力推進課内)
運行情報 https://www.honnomori-gou.com
Instagram @honnomori.gou

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