vol.21

徳島県三好市・箸蔵寺|四国文化遺産

凍てつく深山、
繋げられし星の秘法。

 

 徳島県三好市の山中にある箸蔵寺。ここでは年の節目にあたる節分に、星供養と呼ばれる秘法が行われている。西洋占星術と同じように、密教でも年々巡ってくる星というものがあり、それを供養することにより一年の厄を祓う。節分という節目の、更に日付の変わる深夜0時にこだわり行われる法要に合わせ、箸蔵寺へと続くロープウェイには続々と信徒たちが集まってくる。特別に深夜運行されるそれに乗ると、あっという間に眼下に星屑のような池田の街並みが広がる高みへ。


 雪降る極寒の中、護摩殿において燃え盛る護摩法要と一心不乱の読経。その後通された本坊では暗闇の中一斉に障子が開け放たれ、中に焚きしめられたお香の煙が室内に流れ出て圧倒される。僧侶による節分の豆蒔きや大般若経、そして神道に用いられる金弊を使ってのお祓いなど、神も仏も全部乗せ。神仏分離以前の信仰の特色を色濃く残した、古来からの祈りの形を体験できた気がした。


写真・文
宮脇慎太郎
1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を期に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」などがある

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
宮脇 慎太郎

1981年生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。在学時より国内外に旅を繰り返したが、2009年の奄美大島での皆既日食体験を機に完全に高松に着地した。2016年より瀬戸内国際芸術祭公式カメラマン。専門学校穴吹デザインカレッジ講師。2021年香川県文化芸術新人賞受賞。主な著作に「曙光」「霧の子供たち」「UWAKAI」「流れゆくもの 屋久島・ゴア」など

  1. 徳島県三好市・箸蔵寺|四国文化遺産

  2. 四国中央市・仙龍寺|四国文化遺産

  3. 小豆島町・夏至観音|vol.19 四国文化遺産

コメント

この記事へのコメントはありません。

RELATED