未完成だからつくる
つくり続けて波紋を起こす
生きている実感のヒントはDIY
つくれば人は自然と繋がる
この夏、「ふたばZINEフェス2025」というイベントに初めて参加しました。会場は神戸の新長田にある、ふたば学舎という元小学校の建物。今は市民の地域活動の支援や、学び・文化・ものづくりを通して、人材を育成したり、他の団体との連携の拠点として再活用された建物です。思った以上に立派な建物で驚きました。「ZINEフェス」という名からも出展者はZINEを作ってる方が中心です。ZINEという言葉を初めて聞いた方の為にとっても簡単に説明すると→「少部数の個人的な制作物」です。会場はZINEのブースと当店のような本屋や出版社のブースで分かれます。二日間、なタ書の隣におられたのが、兵庫県尼崎市武庫元町の「DIY BOOKS」店主である平田提さん。
「木ひっこぬいてたら、家もらった。」はDIY BOOKSが今年刊行した一冊です。兵庫県尼崎市に先日まであった、ガサキベースという拠点。工場をリノベーションしたその場所は、コーヒーも飲めるし、DIYを教えてくれる不思議な場所です。店主の足立繁幸さんはガサキベースの縁で島根にある家を1軒タダで譲り受け、その家の木を引っこ抜いていたら、うしろのもう1軒ももらうことに。どうしてそんなできごとが起こったのか? 足立さんの幼少期からの生きづらさ、家族・DIY・仕事・お金、現代人に共通する悩みとともに対話を通して、平田さんが紐解いていきます。
本書を通したメッセージは、自分でつくる、営むことの大切さ。「家計のやりくり、洗濯の仕方、お弁当を作ること。イスをこしらえ、壁紙の少しの破れを直す。生き抜くためには技術・家庭の力が役立つ。DIYである」。つくれば人とモノの縁がつながる。足立さんはDIYを「個人の小さくて厳かな祭り」と称します。平田さんはDIYを「とても身の丈のあった行為だ」と答えます。「つくれる本屋」こと、DIY BOOKSから発行される本は、しっかり届けたい人に届く本。ページ数や部数が少なくとも、それがその人や表現したいことに合っている。
とても身の丈のあった個人の小さくて厳かな祭り。ふたばZINEフェス2025はまさにそんな祭りでした。そしてこのコラムも、縁をしっかり繋げるものでありたいと改めて思わされました。

「木ひっこぬいてたら、家もらった。」
平田 提(DIY BOOKS)
発行 2025年3月
1,760円
藤井 佳之
なタ書店主。四国は高松にて完全予約制の本屋を営む。
なタ書
香川県高松市瓦町2丁目9ー7 2F(瓦町駅から徒歩5分)
tel.070ー5013ー7020
24時間365日予約対応可
X @KikinoNatasyo
Instagram @natasho0718
※店主は電話に出ないこともあります。その場合はどうにかして店主を見つけてください。
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