書店に行こう —本を読みに、島に。
海のそばで、波音を聞きながら読書をする。
そんな時間を過ごせる場所が、香川の島にはあります。
本を読みに、あなたも島へ行ってみませんか。
本を読みに、島に。
・小豆島の本屋 TUG BOOKS
・男木島図書館
・こども図書館船ほんのもり号
photo Kawabata Ayaka
島に新しい流れを吹き込んだ私設図書館
高松港から船で約40分、瀬戸内海に浮かぶ小さな坂道の島・男木島。

船を降りて入り組んだ石段を少し上り、小道を曲がると趣のある小さな木造の建物が姿を現します。
ここは、この島唯一の図書館「男木島図書館」。

館長の額賀(ぬかが)順子さんが、家族でこの島に移住し、私設図書館としてここを開館したのは2016年のこと。
移住のきっかけは、2013年に開かれた瀬戸内国際芸術祭に参加した娘さんの一言でした。
男木島では休校中の校舎でアートの展示やワークショップがあり、とても楽しんだ当時10歳の娘さんが「この学校に通ってもいいな」とつぶやいたのです。
それを聞いた額賀さん夫妻は移住を決意しました。

しかし、島の小中学校は通う児童がいないために休校中。まずは、学校再開運動に取り組みます。
教育委員会に問い合わせると、再開には3世帯以上の子どもが必要で、尚かつ校舎が耐震基準を満たしていないため、建て替えも考えると「10年かかるかもしれない」と言われ、途方にくれた時期もありました。
それでも諦めずに再開に向けた署名集めから陳情まで幾多の壁を乗り越え、翌年にはプレハブ校舎での学校再開へと辿り着くことができました。

そうして実現した移住後、新たな活動として額賀さんが私設図書館を設立した背景には、彼女のある想いがありました。
「せっかく学校を再開したのに、私たちの子どもが卒業したらまた休校するのでは意味がないと思ったんです。
だから、子どもたちの未来につながる場所を作りたいと考えました。
学校を作って終わりにしないためには、島の移住者が集まれる場所や、子どもたちが安心して過ごせる居場所が必要だったんです」
昔から本が好きだった額賀さんが「本屋」ではなく、誰でも無料で利用できる「図書館」を作った理由はそれでした。

利用者は老若男女問わず、島のおじいさんが「本は読まんけど、応援するから借りるわ」と立ち寄ってくれたり、島の子どもたちが放課後に集っていたりという時期を経て、島民の憩いの場となっていきました。
週末には島外の人たちにも広く開放し、移住相談の窓口にもなりました。


島の内と外、今と未来をつなぐ、架け橋として
館内に並ぶ約5,500冊の本は、子ども向けの本から島の歴史がわかる本など額賀さんによる選書のほか、寄贈したい方へ向けに作成された「欲しい本リスト」に掲載している本などが全国から送られてきます。
中には、わざわざ著者のサインを入れて送ってくれる特別な寄贈も。

開館当初から置いている利用者ノートは5冊目に。訪れた人たちがメッセージやイラストで島での思い出を描いてくれています
週末には旅行者も多く訪れます。車の通れない細い坂道が多い男木島では、週末でもとてもおだやかな空気が流れています。静寂の中、ページをめくる音と遠くの船の汽笛だけが響きます。
「時々、本に没頭しすぎて船の時間を忘れそうになっている人もいて。私はハラハラしながら、船の時間大丈夫ですか?お泊まりですか?とお声がけしています(笑)」


現在、男木島小学校には8人の生徒がいます。額賀さんの想いがつながり、再開から10年以上経った今も、学校には子どもたちが元気に通っています。
そして、この男木島図書館も、現在では香川大学の学生が運営を手伝ったり、瀬戸内海歴史民俗資料館など自治体と一緒に活動したりと、地域と若者・移住者をつなぐ架け橋として、ここにあり続けます。
「頑なになりすぎず、その時々に一番いい形で続けられたら、と思っています。成長して島を出ていった子どもたちにとっても、ここがずっと『自分にとって安全で安心できる場所』としてあり続けたら嬉しいですね」
そう言って朗らかに笑う額賀さんの表情には、島の風のような爽快さと、力強い愛が溢れていました。

ここは、訪れた人を優しく包み込んでくれる島の図書館。男木島らしい穏やかな島時間を体感しに、ぜひ立ち寄ってみてください。

男木島図書館
香川県高松市男木町148-1
島外向け開館:土日を中心に開館中。公式サイトの開館カレンダーをご確認ください。
https://ogijima-library.or.jp/
Instagram @ogijimalibrary
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