岡の舎 古民家改修工事
津田の松原を眼下に納める雨滝山の麓。ひっそりと門を構えるT邸の古民家改修のご相談を受けたのは、夏の暑い最中のことでした。「古民家を改修したいのですが、対応できますか?」SNSに届いたその短い一文が、この家との長い対話の始まりでした。
蝉の合唱を背に、二日間かけて行った建物調査。相談者は家主本人ではなく、そのご家族の方でした。老朽化は進み、すでに住める家とは言い難い状態。建て替えが現実的だと言われてもおかしくはありません。それでも「この家が無くなってしまうと、もう二度と造ることができないと思うんです」という言葉に、この家が背負ってきた時間の深さを教えられた気がしました。
古民家の改修は、一筋縄ではいきません。床をめくれば木の癖があらわれ、梁を触れば思わぬ歴史が顔を出します。けれど、その手間と苦労こそが、建物を次の時代へ引き渡していく営みのようにも思えるのです。
そして、竣工の日。「お金では計り切れない価値が、ここに残りました」と呟いた依頼者の横顔は、静かで、そして驚くほど凛として見えました。

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香川県さぬき市津田。江戸末期に建てられたとされる一軒の古民家。住まい手を失い、時間が止まっていた家屋は、積み重ねてきた歴史と家族の記憶と共に、いま再び、静かに時を刻み始めている。
撮影・編集・監督:フルタヨウスケ
制作:A NEW PERSPECTIVE
施工:フルリフォーム/2021
株式会社 佐伯工務店
小豆島本社:
〒761-4151 香川県小豆郡土庄町肥土山甲2093-3
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