「船の体育館」―旧県立体育館―

September 28,2021

  • 雑誌IKUNAS

香川県旧県立体育館は、世界で高い評価を得た日本人建築家、丹下健三が1964年に設計した建物です。
香川県民からは「船の体育館」として親しまれ、
屋内スポーツの「殿堂」の場として長年県下アスリートたちの熱い戦いを見守ってきました。

しかしながら、老朽化に伴う建物の耐震改修工事の入札不調のため、
竣工から50年たった2014年に体育館は閉館となってしまいます。
新しい県立体育館は2024年サンポート高松でのオープンを目指して整備事業が進められています。

旧県立体育館の保存について議論が行われる中、継続的な利活用を進めるために、
香川県教育委員会においてサウンディング型市場調査を行うこととなりました。
(サウンディングとは県有建物や土地などの有効活用に向けた検討に当たり、
民間事業との直接対話により広く提案、意見を求める市場調査手法の一つ)

要するに、民間の事業者が旧県立体育館の継続的な利活用のアイディア、
新たな機能や用途を自由な発想で提案できるチャンスがあるということです。
施設の耐震も含めた改修工事費、運営にかかる費用は事業者負担となりますが、
建物・土地の権利は売却、譲渡、賃貸借など提案内容に応じて相談に応じてくれるそうです。

詳細はコチラ(香川県教育委員会リンク))

写真提供(船の体育館再生の会)

旧県立体育館は、モダニズム建築のひとつとして、国内外からも注目され、
2017年ニューヨークにあるワールドモニュメント財団により世界危機遺産と選定されました。
地域に寄り添い、存在すら当たり前になっている「船の体育館」。
取り壊された後に惜しまれるのはあまりにも寂しい、唯一無二の建造物です。
残された時間は、あまりありません。
ホテル、ミュージアム、スポーツ複合施設、オフィスなど
「船の体育館」を新たなアイディアで残すことができればと願うばかりです。

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