空想してつくり、見て、触って、使って空想する。

May 18,2018

明日、19日から始まる西山千代子個展「空想するうつわ」
この日は西山さんご夫妻が、砥部から展示する作品を持って来て下さいました!

そこで、少しだけお時間を頂き作品づくりについて
西山さんにお話をお伺いすることができ
本日は、そのお話をインタビュー形式でご紹介します。

IKUNAS:
本日はご遠方からありがとうございます!
今日は、西山さんの作品作りについて少しお話を聞かせてください。
まずは、とても細かな絵付けや、はりあわせが印象的ですが、
器ひとつをつくるのにどれくらいの時間がかかるのですか?

西山さん:
たくさんの器を工程ごとに制作しているので、ひとつの器として時間のかけ方は
様々ですが、丸く深い形の器はとくに時間がかかります。
板状の粘土を素焼きの型にあわせて、ベースとなる形を作るのですが、
丸ければ丸いほどその曲面に合わせたときに粘土のたゆみが出てくるので、
その処理をしながら成型していくとどうしても時間がかかってきます。

IKUNAS:
ベースの形が出来上がるまでも大変なのに
そこからさらにはりあわせの作業に入られるんですよね。

西山さん:
そうです。パーツに切り分けて、もう一度はりあわせていきます。
器を見てもらうと分かるんですが、外側と内側、
はりあわせの部分は少しずれた位置にその跡が残っています。
パーツが重なった部分です。この部分は分厚すぎても、薄くしすぎても
焼きあがった時に、ひびや線が入ったり、脆くなってしまいます。
こればかりは成型の時点では目で見るだけではわからないので
焼きあがりを想像しながらひとつひとつ指先の感覚を頼りに作業しています。

どれだけ気をつけて作っても、思うような出来にならないこともあります。
本当に面倒だなと思う事もありますが、これが私の作品の特徴であり、
綺麗にできたときはやはり嬉しいので、どうしても欠かせない作業です。

03

IKUNAS:
たしかに、あえてのこの作業が大切なんだと思います。
西山さんのはりあわせの器は、しっとりした磁器の触り心地とあいまって
手のひらや指にとても馴染むんです。この技法だからこそでしょうか。

さらに西山さんの作品と言えばこの絵柄やかわいい色合いだと思うのですが
モチーフや色へのこだわりはありますか?

西山さん:
食器としては柔らかな色合いが使いやすいと思います。
ピンクや水色、水玉模様は好まれる方も多いので、そういったご意見も取り入れて作っていますが、
実は重めの色使いやいろんな絵柄にも挑戦したいと思っているんですよ。

よく使う色、モチーフなどはありますが、
いくつかのパーツの中で、少しだけ自分の使ってみたいモチーフや
色使いに挑戦することがあって、それがとても楽しいんです。

IKUNAS:
たとえばどんなものがありますか?

西山さん:
日常の生活で思い浮かぶものもあったり、それ以外もさまざまです。
自宅で飼っている猫からもイメージしたりして。
頭の中に思い浮かんだ物語を器のなかに、少しだけコソッと描いたりするのが面白いんですよ。
コソっとね。
今回の作品の中にもそんな器があります。

04

IKUNAS:
だからでしょうか。西山さんの作品はほんと見てて見飽きない!
ずっと見ていられます。今回の作品も早く拝見したくてたまらないです。
しかもこの絵柄、細かい線だけでなく、淡い色の部分もあれば
濃い色の部分もありますよね?

西山さん:
通常、砥部焼は素焼きと本焼き、2回焼きの工程があります。
しかし、私の方法だと仕上がりまで3度焼きの工程が入ります。
線描きの部分を素焼き、淡い面の色付け、最後に上絵付をして本焼き。
手間ではありますが、3度目の上絵付で入る強めの色が器全体を
引き締めるようで、気に入っているんです。
ほらここ、なんとなくほかと色が違うでしょ。マットというか、濃いというか。

IKUNAS:
ほんとだ!
たしかにこの赤があるだけで、ふんわりした印象がきゅっとまとまりますね。

01

西山さん:
そうなんです。この部分が出来上がった時に効いてくるので、大変だけど楽しいんですよね。

たくさんの工程を手作業で制作していますが、出来あがってくる作品は正直なので、
一つとして手を抜けません。
はりあわせの技法は、わざわざ手間のかかる作業を増やしているような技法です。
始めのうちはひび割れたり、時には半分ほどの作品がダメだった時もあります。
絵付けにしてもそうです。でも手間はかかりますが、それが自分の表現方法だと思っています。

IKUNAS:
今回はたくさんの作品をご用意頂きましてありがとうございます。
お話をお伺いすると、もっと西山さんの作品を見たくなりました!
私たちも今回の展示がとても楽しみなんです
19日も宜しくお願いします。
ありがとうございました。

—————————————————————————————-
手間はかかるけど、その手間を惜しまない西山さんのスタイル。
繊細で可愛らしい絵柄からは想像できない、とてもタフなお話をきくことができました。

会期初日、19(土)は作家の西山千代子さんがご在廊いただけます。
直接お話をお聞きできる貴重な機会です。
ぜひ皆さまのご来場をお待ちしております。

01nishiyamachiyoko

西山千代子 個展 「空想するうつわ」
IKUNASギャラリー
平日11:00~17:00  土・日10:00~16:00
会期中無休 駐車場あり

この記事をシェア

  • facebook
  • twitter
  • LINE

RELATION関連記事

TAG記事一覧