【中津万象園】庭に見る 常緑の松への憧れ vol.3
June 01,2018
今よりずっと、命がはかないものだった江戸時代。大名たちは常緑の松に永遠の生を夢見ました。
瀬戸内海は古くから「白砂青松」といわれ、海沿いの砂浜には松が多く植えられていました。
湖に海の水を引いた中津万象園にも自生の松が青々と茂り、海辺の庭らしく美しい姿に整えられていました。
【海風から庭を守る、強き松】
今も1500本の松がある中津万象園。周囲を囲む松は防風の役目を果たし、園内を強い風から守って、落ち着いた空間を保っています。
海風にさらされているため幹が傾いているものも多い自生の松。これらの幹や枝を抜けてさす陽光は、園内に独特の趣を与えています。
そして、随一の手入れ松は樹齢600年と伝えられるのは「大傘松」。
なだらかなカーブを描く山を思わせ、「遠目に皺なし」と表わされる風情ある姿が印象深い大松です。
はるか昔。代々の藩主たちが楽しんだ庭園を気ままにそぞろ歩けば、美しい風景とともに悠久の時の流れも感じることができそうです。