讃岐と伊予の郷土料理/さつま
IKUNASf【レシピ】
June 11,2021
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受け継がれる郷土料理には、地域の文化や歴史、昔ながらの知恵がその一品にギュっと詰まっています。
その想いと味を残すべく、月2回(第2・4金曜日)レシピとともに四国の郷土料理について紹介します。
四国は横に長く、同じ県内でも地域の特色があります。
太平洋側か瀬戸内海側か、四国山脈の北側か南側か、住む地域が海に近いか山に近いかなどでも、食文化は大きく違っています。
例えば、香川県西部と愛媛県には「さつま」という郷土料理があります。
瀬戸内海で獲れる黒鯛(白身魚)と味噌を使った料理です。
香川県でつくられているものを「讃岐さつま」、愛媛県でつくられているものを「伊予さつま」と呼びます。
さつまのルーツには諸説あり、鹿児島から延岡(宮崎)、佐伯(大分)、宇和島(愛媛)と海岸沿いづたいに伝わってきたと言われています。
魚が豊富に獲れる地域であり、すりつぶした白身魚を味噌で和えるという作り方も基本的に同じです。
讃岐と伊予の郷土料理「さつま」
讃岐さつま
香川県内でも西讃のごく一部のみに伝わります。
東讃では認知度が低く、西讃でも知っている方が少ないと言われています。
味噌と胡麻を合わせたものを七輪で香ばしく炙り、
焼き上げた白身魚をほぐしたものと摺り鉢で摺り合わせます。
そこに魚の骨でとっただし汁を加えて伸ばしてつくったのが「讃岐さつま」です。
ご飯にかけて、薬味をのせていただきます。
伊予さつま
「伊予さつま」はもう少しだし汁の量が多く「冷や汁」のように食べられ、「伊予さつま汁」とも呼ばれます。
白身魚でなく地域で獲れたいりこを使う場合や、
きゅうりなどを入れてご飯にかける「冷や汁」を「さつま」と呼ぶ場合もあるそうです。
他にもこんにゃくを入れたりみかんの皮を入れるなど地域や各家庭で作り方が異なります。
とはいえ、香川県と愛媛県で厳密に分類されるものではなく、香川県でもこんにゃくを入れてつくる方もいます。
隣り合った地域だからこそ、作り方の境界も曖昧。
むしろ、味や作り方は家庭によって変わるのかもしれません。
「讃岐さつま」も「伊予さつま」も、かつては冷凍・冷蔵技術は今日ほどに発達していなかったために、
傷みやすい魚介を加熱し塩分のある味噌と合わせて食べられていたもの。
地域でとれる食材を無駄にせず、大切に食べるという先人の知恵が込めたれた郷土料理です。
「讃岐さつま」
材料(2人分)
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・鯛 1/2身(30 cmくらい)
・塩 小さじ1/2
・合わせ味噌または赤味噌 大さじ2
・ごま 適量
・ねぎやのり 適量
・ごはん 適量
つくり方
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1.鯛は塩焼きにし、骨と皮を除きほぐす。頭と骨で200ml分のだし汁をとる。
2.味噌をオーブシートに薄く敷き、トースターで焼き目をつける。
※昔はすり鉢ですった味噌を、すり鉢は逆さに七輪にあて香ばしく炙っていたそうです。
3.鯛の身をすり鉢でよくすり、焼き目を付けた味噌とごまを加え、冷ましただし汁で少しずつのばす。
4.あつあつのご飯に「3」をかけて、ねぎやのり、ごまをのせて完成。
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トースタや切り身魚を使えば手軽に作ることができる郷土の味です。
ぜひお試しください。
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IKUNAS/香川県・高松市のデザイン制作会社が年2回発刊(3月下旬・9月下旬)する四国のモノ・コト・ヒトを取り上げたライフタイル誌。香川県の伝統工芸品、産業をはじめとするものづくりや郷土食など毎日の生活にフレーバーを届ける内容を紹介。その中の食の取り組みが「IKUNAS f(food)/イクナス エフ」。