工房をたずねて

神棚/匠製作所|工房をたずねて

受け継がれてきた想いを
生かす仏壇づくり


受け継ぐためのかたち

 仏壇や神棚は、古くから人々が手を合わせ、祈りを託してきた大切な場所です。しかし現代では、住環境や家族の形が変化する中で「大きな仏壇を置けない」「受け継ぎたいけれど引き継ぐ人がいない」と悩む人も少なくありません。そうした声に寄り添いながら、仏壇を現代の暮らしに合った形へと生まれ変わらせているのが、匠製作所の代表・鈴木文美男さんです。
 鈴木さんが仏壇業界に入った当時は、海外生産の新品を販売する流れが主流でした。「代々受け継いできた仏壇を残したい」という人も多くいましたが、修繕には高額な費用がかかることもあり、やむを得ず手放すというケースも少なくありませんでした。そうした状況に疑問を感じ、大事なパーツは引き継ぎつつ、新しく生まれ変わらせる仏壇リメイクを始めました。

小さなものを彫るときは、ノミは叩かず、体で押さえながら彫り進める

錆びた釘も無駄にしない。古い仏壇から取り出した錆び釘で作った鉄媒染。木材に塗ると黒く反応する

鉄媒染で塗った引き出し。木目を生かした上質な仕上がりに

神棚には主に木曽檜を使用。木目は見えないほど細かい

金箔を磨くための道具「鯛牙(たいき)」。知人が釣った鯛の歯を使っているとか

漆の色ひとつでも印象は変わる。お客様の想いや空間に寄り添いながら決めていく

素材を生かし切るものづくり

 「処分する人もいる中、リメイクを選ぶということはそれだけ想いが強い証。だからこそ大切に制作したい」そう語る鈴木さん。そのものづくりを支えているのが3つの信念です。
 まずは歴史を知ること。どんな人が使っていたのか、なぜその素材が使われているのか。背景を知ることが何より重要だといいます。例えば、毎日仏壇の前で手を合わせていた人なら、合掌ポーズの部品を新しく制作し、新たな仏壇へと生かします。
 次に、素材を無駄にしないこと。使用している木材の多くは端材です。理想の形のために材料を切り出すことはしません。「手間だけ無駄遣いする」ことを大切にしています。
 そして最後は、かたちが徹底的にシンプルであること。必要以上に装飾や技法を加えるのではなく、必要なものだけを残す。長い間使い続けられるものほど、シンプルなかたちに行きつくといいます。
 過去の経験から「ものは有限」だと強く感じるようになったとう鈴木さん。端材から神棚を作り、その端材から飾りを制作し、さらにその端材から小物へ。何ひとつ無駄にしないものづくりがそこにありました。

匠製作所
香川県木田郡三木町鹿庭1451-1(工場)
https://takumiseisakusyo.shopinfo.jp/

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Shichimi

編集担当。香川についてまだまだ知らないことばかり。楽しみながら取材をしています。趣味は観劇とランニング。

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