vol.21

慈しみの気持ちを盆栽ギフトに込めて[女性盆栽家のストーリー]

出会いは近所の庭先に
 高松市川部町にある、盆栽総合サイト「盆栽妙」の通販事業部。外には色とりどりの盆栽苗が並び、出荷の時を待っています。
 盆栽を愛してやまない店長の高村雅子さん。2007年に「盆栽妙」をスタートし、現在は松盆栽の生産量日本一である高松市に移住しました。
 生け花やお茶など、幼い頃から日本文化に親しんできたという高村さん。あるとき近所で見かけた盆栽が大きな転機となりました。「生命力にあふれ何かを訴えかけてくるようで、同時に癒しを与えてくれるような存在でした」。”盆栽は年配男性の趣味“というイメージがまだまだ強い中、同郷の職人・太田重幸さんとの出会いを経て、盆栽にのめり込む日々が始まりました。

「盆栽畑が広がる光景は、地元の人には当たり前でも、実は感動的な眺めです。これからもこの景色を守っていけるよう、次世代の生産者と連携しながら支援していく体制をつくっていきたいです」と微笑む

かつては「妙な趣味だね」と言われたことも。その初心を忘れまいと屋号に

未来への危機感
通販事業が軌道に乗る一方、業界全体としては年々縮小の傾向が色濃くなっていました。高村さん自身も仕入先の廃業に直面します。「それまでの私は、生産現場の苦労や課題を十分に知っていたとは言えませんでした。まずは自分自身がつくり手の想いにしっかりと寄り添わなくてはと、全国の生産地をまわることにしました」
 そんな中、高松の若手生産者の北谷隆一さんとの出会いも後押しとなり、大阪から”盆栽の聖地“高松に拠点を移すことを決断しました。

親子出勤ができる体制を整えたり、迷い猫を保護して世話をしたりといった取り組みも進めてきた。「盆栽を慈しむ気持ちと、猫たちを見過ごせない気持ち。どちらも根っこは同じです」と高村さん

どんな人にも盆栽を
「盆栽妙」で取り扱う盆栽はなんと約200種。道具や土も販売し、初心者向けにきめ細かく情報を発信しています。「創業した頃は、盆栽を始めたくても情報が少なく、商品も男性向けが中心。そんな現状を変えたくて」と高村さん。
 盆栽ギフトの提案にも積極的です。「盆栽は生きもの。手をかける奥深さ、四季を楽しむ豊かさをも相手に届けることができる、他にない贈りものと喜んでもらえています」
 次なる目標は、盆栽を実際に体験できる場をつくること。国分寺町の日本家屋を宿泊兼体験施設へと改修中です。「困ったときに相談に乗れたり、気軽に実物を見られるような場にしたい」と2026年のオープンに向け意気込みます。

桜や紅葉はギフトとして人気。開花や色づきを調整し、丁寧にラッピングして届ける

盆栽妙 店長 高村雅子さん
三重県鈴鹿市出身。盆栽家、盆栽ライフアドバイザー。大阪の自宅で始めた盆栽教室が好評となり、2007年に通販サイト「盆栽妙」をオープン。2016年から高松に事務所移転


株式会社妙興
[通販事業部]
〒761-8046 香川県高松市川部町1908-1
[本社事務所]
〒769-0103 香川県高松市国分寺町福家甲1053
tel.087-885-2270
【受付】10:00〜17:00  【休日】土日祝
https://www.bonsaimyo.com/

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Mizmm

香川に戻って7年目のIKUNAS編集長。讃岐や四国の歴史・民俗・食文化に興味津々。旅も好き。

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