新企画【私たちの聖地、紹介します】ー「第八十八番札所 大窪寺」IKUNASg スタッフー
August 08,2020
- 雑誌IKUNAS
子どもの頃、休みの度に家族でよく出かけており、各地を訪れた思い出が今も風景やエピソードとともに残っています。
大人になってからも、記憶をたどる旅にでかけることがあり、その中でも何度も訪れている場所があります。
その場所とは、四国霊場八十八カ所の88番札所「大窪寺(おおくぼじ)」。
子どもの頃、祖母が好んでいた場所で、かなりの頻度で訪れていました。
小さな軽自動車で、当時まだ整備されていない山道をガタゴト揺れながら向かう道中も、醍醐味のひとつ。
秋には栗をひろい、春には桜の下で休憩したりとミニトリップを楽しんでいました。
目的地の大窪寺は、「結願」をする白装束のお遍路さんがいつもたくさんいて、子どもながらとても神秘的な光景だと思っていました。
参道の石段を上ると奥が本堂です。
本堂の後ろには、険しい「女体山」が見えます。
当時、子どもの私に祖父が、「あの山には、天狗さんが住んどるんやで。高い下駄を履いてな、
ひとっとびで山を降りてくるんや。今もこっちの様子を伺いよるかもしれんの~」
なぜ祖父がそんなことを言ったのか今となっては確認ができないのですが、おとっちゃま(※)だった私は、それ以来大窪寺へいく度おそるおそる山を見上げお参りどころではなかったことを思い出します。
※讃岐弁。怖がりのこと。
残念ながらまだ天狗には会えていませんが、35年たった今も「変わらない風景」を求めて大窪寺に向かい、懐かしく女体山を見上げるのです。
帰りに手作りこんにゃくを買うことも、祖母からしっかり受け継いでいるようです。
(IKUNASg M)