「合田邸」に息づく在りし日の多度津
August 28,2019
先日、多度津町にある有形文化財「合田邸」を訪ねました。
多度津七福神(!)と呼ばれた豪商の一人である合田房太郎の自邸として建てられ、在りし日の多度津の繁栄を今に伝える邸宅です。
合田邸がすばらしいのは、何よりその意匠。
細部まで手を抜かず、部屋ごとに工夫を凝らし、当時の最先端であろうデザインを随所に取り入れているのです。
紙面ではとてもすべて伝えきれない!ということで、こちら.comにて番外編をお届けします。
合田邸は、数回の増改築を経て昭和3年に現在の姿になったそう。
傷みがすすんで現在非公開の部屋もありますが、公開中の部屋だけでも広大。
当時としてはモダンだったであろう西洋風の食堂や、広縁を合わせて50畳もある大広間、粋を凝らしたガラスの間など、見どころ十分です。▲洋風の応接間の入り口にある、鷲をかたどった帽子掛け。
▲お手洗いの前の手水鉢。なんと噴水なんです。甕から噴きだした水は、徐々に下に溜まり池のように。お手洗いに向かう廊下は、あたかも橋のように欄干が備えてあります。
▲洋室(現在は非公開)に向かう入口に敷き詰められたタイル。人造大理石の湾曲にもこだわりが感じられます。
▲食堂の大きな長机は、ふだん家人が食事をする際にはカバーをかけており、客人をもてなす際にはカバーを取り外すのだとか。なるほど、磨き上げられた天板が隠されています。
▲こちらも同じく食堂の窓ガラス。様々な模様・色のガラスを組み合わせたデザイン。一枚の窓にこんなに多様なガラスを使い分けるとは、家人の裕福さとたしかな審美眼を物語っています。
▲巨大な手水鉢。140㎝ほどはあろうかという大きな石をくり抜いています。竹筒の下には水琴窟があり、手を洗うたびに涼やかな音を楽しめます。
▲美を追求する姿勢はこんな細部にも。一見行灯のように見えますが、中に電球が仕込まれている電灯です。煩わしい電気のコードが見えないように、なんと丸い取っ手とひっかけ鍵の中の空洞にコードを通して隠しているんですよ。
合田邸には、これ以外にも見どころがたくさん。
ぜひ訪ねてみてください。
合田邸をはじめとし、多度津の古い街並みを歩く企画を、9月30日発売のvol.10にて掲載予定です。お楽しみに。
合田邸の見学はこちら:
合田邸ファンクラブ代表 泉川さん 090-7785-7573(事前に要予約)