特別企画【食のプロと一緒にお買い物】~11月 瀬戸内海食ラボ~
October 26,2020
- IKUNASf
「和食」が世界遺産に認定されたことは周知の事実ですが、同様に認定された食文化として「地中海食」というものがあるのをご存知でしょうか。イタリア、ギリシャ、スペインなど地中海沿岸の国々に伝わる、オリーブオイルやナッツ、野菜や魚介を豊富に使った健康的な食文化のことです。
この「地中海食」になぞらえて、気候風土の似た瀬戸内海ならではの食文化「瀬戸内海食」を発信していこうと活動しているのが「瀬戸内海食ラボ」の3人。香川県の郷土料理である「押し抜き寿司」を現代風にアレンジした「さぬきOSHINUKI寿司」が話題を呼んでいます。
「瀬戸内海食ラボ」が活動をスタートしたのは2018年のこと。多田さん、岡林さん、西村さんの3人のメンバーはそれぞれに、県内の生産者を取材したり地域の食について研究したりと食べることに携わってきました。
IKUNAS本誌やイベントでもご紹介した「さぬきOSHINUKI寿司」は、自由な発想と彩りが楽しく、いつ見ても「おいしそう!」とワクワクしてしまいます。そんな「瀬戸内海食ラボ」の3人のアイデアの源を探るべく、お買い物の様子を見せていただくことにしました。
===========================
▼新鮮な県産食材がそろう、「マルヨシセンター松縄店」。
ワークショップを行う際には、県産食材にこだわるという瀬戸内海食ラボ。
安心で栄養豊富なことはもちろん、華やかな彩りも大切です。そこで新鮮な県産食材が揃っているというマルヨシセンター松縄店に、瀬戸内海食ラボの多田さん、岡林さんのお二人と行ってみることにしました。
お寿司づくりでは旬の食材をバランスよく使うのがポイント。まずは青果を中心に売り場をくまなく見ていきます。青果チーフの浦辺さんが売り場を案内してくださいました。
浦辺:秋から冬にかけては香川県産のフルーツが色々出てくる時期です。「香緑」や「さぬきゴールド」などのキウイにみかんなどの柑橘類も各種出てきますよ。柿もおすすめです。
多田:キウイは色もツヤ感もきれいだからトッピングに活かせそう。
岡林:甘みのあるさつまいもは、さっぱりと柑橘で煮るのはどうかな?
多田:みかんは輪切りにして丸く抜けば、OSHINUKI寿司にぴったり。彩りも良くジューシーに仕上がるんじゃない。柿も、食感と色がアクセントになるね。
浦辺:柿の中でもおすすめなのが「太秋(たいしゅう)」。店頭に並んでいるものの中には皮が青いものもありますが、身は十分に甘くシャキシャキとした食感が楽しめます。キウイは三豊市高瀬町周辺、濃いオレンジ色が特徴のみかん「小原紅早生(おばらべにわせ)」は坂出市など、地域ごとに特色あるフルーツがつくられています。
様々な香川県産フルーツを前にアイデアが広がります。お寿司にフルーツ?と思われるかもしれませんが、実は相性のいい組み合わせ。
酢飯は時間が経つとどうしても味がぼんやりしがちですが、フルーツのはっきりとした甘みと酸味がお寿司全体の味をいい塩梅に調和させてくれるんです。特に11月後半にかけて旬を迎える香川県産キウイは、甘みと酸味のバランスがよくお寿司にぴったりなのだとか。見た目にもカラフルなので、ホームパーティーでも映えるんだそう。
フルーツも具材になると聞くと、途端に想像力が湧いてきます。様々なフルーツと旬の野菜をカゴに入れ、2人が次に向かったのは鮮魚売り場。売り場担当の井内さん、秋山さん、丸柱さんにお話を聞きました。
===========================
▼旬の魚介の取り入れ方は、売り場の人に聞いてみて。
多田:フルーツを取り入れるなら、甘みを引き立てる塩気のある食材がほしいね。クリームチーズやスモークサーモンはワークショップでも一番人気だよね。
岡林:旬の魚も使ってみたいけど…。おすすめはありますか。
井内:香川県産のひけた鰤(ぶり)はどうでしょうか。例年11月頃から解禁となり、例年引田漁業協同組合では大々的に出荷式を行っています。今年(2020年)は10月30日に出荷式が行われ、マルヨシセンターでは翌31日から入荷し始めました。これからの時期ぜひ食べていただきたい食材です。脂がしっかりと乗ったひけた鰤は、まずはぜひ生のまま味わっていただきたいですね。
岡林:フルーツと合わせるならどのような食べ方がありますか。
秋山:おすすめなのは柑橘類。押し寿司のようにするならレモンやすだちをスライスして挟みこむと、香りと酸味がしっかりと付いておいしく仕上がります。みかんの果汁で酢締めのように締めるのも合いそうです。酢締めにしたものは大葉や玉ねぎなどの香味野菜、炙って塩をしたものはニンニクや茹で栗などとも合いますよ!
お寿司といえば魚ですが、鰤などの青魚は注意が必要。フルーツと生のまま合わせると魚の生っぽい味やにおいと合わないことがあります。
これを防ぐには、青魚を一度マリネや酢締めなどにするのがコツ。また、塩と酒を軽く振って水分を拭き取るだけでも臭みがとれます。
表面を炙ると香ばしくなります。焼いた身を酢飯に混ぜるのもおすすめ。味わいに変化がつき、ボリュームも出ます。
多田:マルヨシセンターでは、どんなふうに鮮度管理を行っているんですか?
丸柱:当日入荷分はその日売り切ることを目指しています。氷掛けをしっかりして鮮度を保持するなど、基本的なことをきちんとやるよう心がけていますね。やはりお客様に生のおいしい状態を食べていただきたいですから、質の良いものが入ったら刺身やお寿司に加工するようにしているんです。入荷した魚を見てその日の売り方を決めているんですよ。
岡林:そうなんですね。私はひけた鰤をしゃぶしゃぶにするのも大好き。
多田:私も私も。海水魚のハマチの海面養殖に世界で初めて成功したのが香川県なのね。その技術が引き継がれて、鮮度のいい「オリーブハマチ」や「ひけた鰤」が気軽に食べられるようになったのよね。
岡林:養殖の技術も私たちの生活を豊かにしてくれているね。
===========================
▼やさしい甘みで、健康にもいい“新しい”調味料。
続いて向かったのは調味料売り場。実は、瀬戸内海食ラボでは酢飯をつくるときにあるひと工夫を加えているんだとか。
香川県は「讃岐三白」と呼ばれる砂糖・塩・木綿の名産地でした。このため、おもてなしやお祝いのときに供される料理には、ふんだんに砂糖を使う文化があります。冷蔵庫のない時代、砂糖を多くして保存性を高める意味もありました。
したがって押し抜き寿司も従来のレシピだと砂糖がかなり多め。現代の私たちが食べると、ちょっと甘すぎると感じることも…。
瀬戸内海食ラボの活動のコンセプトは「おいしく健康的に」。そのため酢飯の甘みは控えめにし、甘みをつけるのにも希少糖含有シロップを使っています。
岡林:多すぎる砂糖は気になるけど、低カロリーな人工甘味料は独特な後を引く“甘み”が気になることも。その点、希少糖含有シロップは甘さがやさしく、後味のキレもいいよね。
多田:そうそう。シロップ状だから合わせ酢を作りやすいし、ご飯とも馴染みやすい。料理の甘みづけにも、飲みものに入れてもいいよね。日常的にお砂糖代わりに使ってる。
他にも、味付けには香川県産の藻塩や地元のオリーブオイルなど、できるだけ地域の食材を使うようにしているという瀬戸内海食ラボ。
ご飯の量を少なめにして上に乗せる具材を多くするなど、現代の嗜好にあったバランスを心がけているのだそう。
多田:希少糖といえば、実は私、マルヨシセンターのお惣菜のファンで…。
岡林:多田さんも!私もよく食べてる(笑)。
売り場には高野豆腐の煮ものやなすの揚げびたしなど、和のお惣菜やお弁当が並んでいます。季節の魚の南蛮漬けなど、その時季おいしい食材を使っているのもポイント。やさしい味付けと豊富なラインナップが好評なのだとか。
===========================
▼明るい売り場と信頼の鮮度。
一通り店内を巡って、お寿司づくりの材料が揃いました。ワークショップ用の買い出しや普段の生活でもマルヨシセンターを愛用しているという2人に、お店の印象を聞いてみました。
岡林:マルヨシセンターは、いつ来ても売り場がきれい。通路が明るくて見やすいよね。ちゃんと鮮度のいいものが置いてあるから安心感もある。
多田:ここに来れば大丈夫っていう信頼感は高いよね。青果も魚介も新鮮だし、地元農家さんの産直も昔からあっていつも楽しみにしています。
旬の食材たっぷりのカラフルなお寿司は、年末年始のパーティーシーズンにもぴったり。さっそく、思い浮かんだ“アレンジ寿司”のアイデアを試してみたくなるIKUNASfスタッフなのでした。
自由自在!アレンジ寿司のイロハ
■旬のおすすめ食材
・これから脂が乗っておいしくなってくるハマチや鰤を贅沢に。えびやサーモンは色合いもきれいに仕上がります。
・酸味や歯ごたえのあるフルーツはお寿司と好相性。いちごのスライス、オレンジなどの柑橘類やいちじくがおすすめ。これからの時期ならシャキシャキした食感の太秋柿やキウイ、みかんは使いやすい食材です。
・スパイスやハーブをアクセントに取り入れるのも◎。カレー味のひき肉やパセリは取り入れやすく、酢飯の甘酢味とよく合います。蕗やみょうがなど、香味と口あたりの良い食材もおすすめです。
・仕上げにオリーブオイルを垂らすと、香りとまろやかさがプラスされて味のまとまり感がアップ。
■おいしい酢めしの作り方
・合わせ酢を作るときはぜひ希少糖含有シロップで。酢と混ざりやすく均一に味をつけることができます。
・甘さは控えめにし、上に載せる具や挟む中具で味のバランスを調整しましょう。
■飾り付けのアイデア
・押し抜き寿司は酢飯の間に中具を挟み、さらに上に食材を載せてぎゅっと押し抜いたものですが、現代の生活では難しく考えず「おいしく」「楽しく」を優先でも大丈夫。セルクルやクッキー型で押し抜いた酢飯の上に、自由に具を載せてみましょう。
・薄くスライスした野菜を花びらのように重ねたり、丸く型で抜いたりするのも◎。
・メインとなる色合いを決め、アクセントに対照的な色の食材を取り入れるとおしゃれに仕上がります。同系色でまとめると大人っぽくなります。
旬の香川県産食材は、マルヨシセンター・グランデリーズでお買い求めいただけます。
ぜひ、レシピを参考におうちでもつくってみてください。
また、みなさんのおすすめの《アレンジ寿司》のレシピも募集しています!
■■■アレンジ寿司のアイデア、教えてください!■■■
IKUNAS f ハッシュタグキャンペーン 第5弾
旬の魚介や野菜、フルーツなどを使った《アレンジ寿司》を教えてください。
@ikunas_f をフォローの上、ハッシュタグ #イクナスアレンジ寿司 をつけて
写真とレシピを投稿してください。
応募期間は2020年11月2日(月)~ 11月30日(月)。
ご応募いただいた中から抽選で1名様に
マルヨシセンターの商品券または商品5,000円分が当たります。
ご応募、お待ちしております!
今回のIKUNAS f 「食を楽しむユニット」
瀬戸内海食ラボ
県内在住の女性3人によるユニット。香川県を中心とした瀬戸内海地域の食文化の多様性と豊かさを、時には楽しく、時には関係機関と連携して真面目に伝えていきたいと、2018年から本格的な活動をスタートしました。世界遺産に認定されている「地中海食」と「和食」に瀬戸内海地域の食文化を重ね合わせ、「瀬戸内海食」と名付け、様々な形で発信しています。
IKUNAS f(イクナスエフ:FOODに関するプロジェクト)では他にも、香川県の郷土料理や四国の「さしすせそ」を使ったレシピ、田畑の様子を季節ごとにレポートする「産地をたずねて」など、食にまつわる読みものを日々発信しています。どうぞご覧ください。